もしも高齢の親に介護が必要になったら、家族の誰が担当すべきなのだろうか──。この難しい問題の答えを老親本人に委ねてはいけないという。それは兄弟姉妹でこそ話し合うテーマだ。介護アドバイザーの横井孝治氏が語る。
「元気な高齢者に、誰に世話してもらいたいかを聞いても、多くは『オレは大丈夫だよ』といいますが、脳出血で入院した人に、どこで介護されたいかを質問すると99.9%の人が『自宅』と答えます。誰の世話になりたいかを尋ねてしまうと、指名された家族は重荷を抱え、他の兄弟姉妹は“セーフ”と逃げていく。これではいけません」
介護に関する3大相談内容は、遠距離介護、認知症、兄弟姉妹の役割分担、の順だという。
では、兄弟姉妹で親の介護問題を話し合う時、押し付け合いを避けるにはどうすればいいのか。ケアタウン総合研究所の高室成幸氏は、「誰が介護するか」を決めるのではなく、「兄弟姉妹がどう役割分担するか」を話し合うのがいいと指摘する。
「高齢の親が1人暮らしなら、室内にカメラを設置してスマホなどで見守るサービスもある。離れて暮らす兄弟姉妹が週に何度か電話をかけたり、リモートで見守り、何かあれば実家に近い兄弟姉妹に訪問してもらうなど、手分けして互いの負担を軽くする。
実際に介護認定を受ければ、ケアマネジャーが家族の状況に応じて具体的な役割分担のアドバイスをしますが、まず、親が要介護になった時、自分がどんな役割ならできるか、何ができないのかを兄弟姉妹でよく話し合っておく」
そうすれば、いざとなっても兄弟姉妹同士、負担の重さがわかり、助け合いの気持ちが強まる。