「自分にとって大切なもの」から備える
前編で紹介した水とトイレ、そして後編で紹介した落下対策、光、モバイルバッテリーもくわえた全部で5つの備えは、生きていくことにかかわることですから、多くの人にとって優先順位が高いものです。でも、このとおりすべてを完璧にやる必要はありません。
例えば、ガラケーを使っていて、日常的にラジオを聴いているという人であれば、大容量のモバイルバッテリーは必要ないですし、「おなかが空くとまるで力がでない」という人は食料備蓄からはじめたほうがいい。考えるべきは「自分にとって何が大切か」です。何がないと困るのか? できるだけ日常に近い暮らしをするためには何が必要か? 日々の生活を“棚卸し”していく感覚で考えていくのがおすすめです。
(了。前編から読む)
【プロフィール】
辻直美(つじ・なおみ)/国際災害レスキューナース。一般社団法人育母塾代表理事。阪神・淡路大震災を経験し、実家が全壊したのを機に災害医療の道に。現在はフリーランスのナースとして、「災害は怖いけど防災はオモロイ」をテーマに講演や防災教育を行うほか、後進の指導にも注力。主な著書は『プチプラで地震に強い家づくり』(扶桑社)、『保存版 防災ハンドメイド 100均グッズで作れちゃう!』(KADOKAWA)。最新刊(監修)『地震・台風時に動けるガイド』(メディカル・ケア・サービス)が3月末に発売予定。