学校や幼稚園の行事やイベント、式典までを裏から支える「PTA」。コロナ禍では各種行事の中止が相次いだことから、PTA活動自体も縮小傾向にあったが、新型コロナの「5類移行」により、コロナ前のように「再開」する動きが各地で起きているという。
しかし、共働き家庭の増加などからPTA役員・委員の担い手は全国的に不足しており、やむなくPTA組織を解散した学校もあるなど、その組織のあり方は議論を呼んでいる。コロナ前の日常が戻りつつあるなか、現在のPTA活動はどのような状況になっているのか。子供が通う幼稚園で今年度からPTA役員を務める30代女性のケースを、フリーライターの吉田みく氏がリポートする。
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千葉県在住の専業主婦・カスミさん(仮名、33歳)は、今年度から3歳と6歳の子供2人が通う幼稚園のPTA役員に就任したという。PTAの仕事量の多さに衝撃を受け、役員を引き受けたことを後悔していることを話してくれた。
「きっかけは同じ区画に住む仲の良いママ友からの誘いでした。『どうせやるなら早いうちにやったほうが楽だし、一緒にやらない?』と言われ、役員に立候補したんです。親しいママ友と一緒にできることもあり、『せっかくだから楽しもう』くらいの気持ちでいたのですが、想像していた以上に大変でした……」(カスミさん、以下同)
カスミさんの子供たちはコロナ禍の最中に入園したこともあり、遠足や夏祭りの規模は縮小され、お楽しみ会などでは飲食物の提供が中止されていたという。それらは平時ならPTA役員が計画・準備・運営に協力していた行事だ。定期的に行われていたPTA主催の園内美化活動も3年連続で中止だった。コロナ禍に役員を務めた保護者からは「何もすることがなくて楽だった」と聞いていたそうだ。
そうした状況が、新型コロナウイルスの「5類移行」後、変わりつつある。世間がコロナ前の日常に戻りつつあるのに伴い、カスミさんがPTA役員を務める幼稚園でも、コロナ禍で中止されていた行事が復活される様子だという。
「私が役員に立候補した時点では、この数年で中止された行事を今年度から再開するかどうかは未定でした。園内美化活動は3年間やってきませんでしたが、やらなくても特に問題はないように感じました。その他の行事も、再開するにしろ以前より規模を縮小しつつかな……と甘く考えていたら、まさかのコロナ前と同様に行事をやるというので驚きました」