試算すると、一方が厚生年金に加入する片働き世帯は、繰り下げ受給をすることで年金収入だけで生活できるようになることがわかる。しかし、70歳まで年金が受給できないため、65歳以降も働きながら生活していくか、やはり貯蓄を切り崩す必要が出てくる。
また、国民年金のみに加入している夫婦世帯と単身世帯は、たとえ受給時期を 70歳まで繰り下げたとしも、それぞれ3000万円以上、2000万円以上の老後資金が不足することになる。
このように老後資金の不足額がいくらになるのかは、世帯の資産状況などによって異なるが、特に国民年金のみに加入している場合は、たとえ繰り下げ受給を選択したとしても、年金収入だけで生活していくのは現実問題として難しい。老後破産を避けるためには、早いうちからiDeCo(個人型確定拠出年金)などを活用して備えておくほか、生涯現役で働くことも覚悟しておかなければならないだろう。(了)