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「だって本当のことなんか知りたくないんだもの」…詐欺被害者に共通する行動と考え方をオバ記者が考察

詐欺に遭ったらサラッと人に話すべき

 だから、H美だけじゃない。ちょっと調べればわかることを調べないのは、詐欺被害者に共通する行動よ。だって本当のことなんか知りたくないんだもの。夢の中にいると薄々わかっているけど、もしかしてここに居続けたら夢が夢でなくなるかも。つかっているぬるま湯は日に日に冷めてくるけれど、そこから出るよりはマシ。てか、出たくない。

 そして「だって私、詐欺に遭うほど悪いこと何もしていないもの。転んだおばあさんも助けたし、真面目に生きてきたもの。詐欺に遭うわけがない」と自分に言い聞かせる。思えばヘンな理屈なんだけどさ。そもそものところで、詐欺に遭うときは心の中に納得のいかないこと、思うに任せないこと、がまん、辛抱、そして……誰かを憎む気持ちが堆肥のようにたまっていって、それに耐えられなくて絵に描いた餅に飛びつく、と私は思っているの。

 で、傷を浅くするにはどうすべきか。

 私みたいに詐欺に遭ったことを何十年も隠蔽しないで、H美のようにサラッと人に話すことよ。コトによっては法的手段を取って忘れること。66才でカミングアウトした私の結論は「騙す側にならなくてよかった」ということ。人を騙してなんの憂いもなく生きていけるように人間はできていないと私は思っている。

【プロフィール】
「オバ記者」こと野原広子/1957年、茨城県生まれ。空中ブランコ、富士登山など、体験取材を得意とする。

※女性セブン2023年11月23日号

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