川辺謙一 鉄道の科学

JR2社が開発に取り組む「水素燃料の鉄道車両」の仕組み 燃料電池を搭載する「HYBARI」も話題

「ジャパンモビリティショー2023」で展示されたJR東日本の燃料電池電車「HYBARI」

「ジャパンモビリティショー2023」で展示されたJR東日本の燃料電池電車「HYBARI」

 鉄道は、多くの人にとって交通の手段としてだけでなく、趣味や娯楽の対象としても親しまれており、ときに人々の知的好奇心を刺激してくれる。交通技術ライターの川辺謙一氏による連載「鉄道の科学」。第16回は「水素を燃料とする鉄道車両」について。

開発が進む水素を燃料とする鉄道車両

 近年は、水素を燃料とする鉄道車両が開発されています。たとえばJR東日本は、燃料電池を搭載した燃料電池電車「HYBARI(ヒバリ)」を開発し、走行試験を実施しています。この電車は、今年10月に東京で開催された「ジャパンモビリティショー2023」の会場にも展示され、話題にもなりました。

 いっぽうJR東海は、今年11月に「水素動力車両」を開発すると発表しました。これは、燃料電池または水素エンジンを搭載する鉄道車両で、水素を燃料として使います。

 なぜこのような鉄道車両が開発されるようになったのでしょうか。そもそもどのようなメリットがあるのでしょうか。今回はその謎に迫ってみましょう。

目的は環境対策と持続可能な社会の実現

 結論から言うと、これは「環境負荷の低減」と「持続可能な社会の実現」を目標として開発されることになったのです。

 …と書くと「難しい」と感じる方もいらっしゃると思うので、水素から水を生成する話をしながら、くわしく説明します。

次のページ:発電する燃料電池

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。