企業業績が変化、成長するとき、会社からはシグナルが出されているのか。10年以上にわたって上場企業の決算説明会に参加し続け、1000社以上を継続調査している経験をまとめた著書『成長する企業がやっている分析する広報』が話題の分析広報研究所・小島一郎氏が、変革を起こそうとする企業が発するシグナルを読み解く。
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リサーチに多くの時間を費やすことができる機関投資家と比べて、それが十分に行えない個人投資家は不利な条件で投資を行わなければならないと感じることもあるだろう。しかし、他人から預かった資金を運用する機関投資家と異なり、自らの資金を投資する個人投資家には、より多くのリスクを取ることができるという強みがある。
機関投資家が投資する際には、「説明責任」が求められる。言い換えれば、未来の成長への裏付けや証拠を挙げられない場合、簡単に投資を実行できない。そのため「変化」に期待して投資するのが難しい側面もある。一方で、個人投資家は説明責任を求められことはなく、自己責任でリスクをとることができる。そのメリットを活用しないわけにはいかない。
そこで、今回は会社の「変化」の兆候をいち早く見つけて、大きなリターンを狙う方法を解説したい。
私は上場している会社1000社以上を継続して観察している。そのなかで気付いた傾向のひとつが、「会社が変わる初期に決算説明資料が変わることが多い」ということだ。
IR業務を行ううえでは、過去の説明資料のフォーマットを踏襲したほうが、効率的に運用できるものだ。その説明資料をわざわざ変えるのには意図がある。会社の事業が変わっていないときに、説明のやり方である説明資料を変えようとは思わないだろう。そこで、具体的に、決算説明資料や説明の仕方を変えている企業をいくつか紹介したい。