プライベートジェットで“参戦”
1&1は12月8日、森の中のキャンパスを思わせるモンタバウアーの本社に独政府の要人らを招き、5Gサービスの開始に合わせた式典を開いた。
数日前にプライベートジェットで日本を立った三木谷は、インドのベンガルールで、がん治療を手がけるグループ会社、楽天メディカルの光免疫療法「アルミノックス」の患者を見舞い、西に移動してUAEのドバイとサウジアラビアのリヤドで楽天モバイルなどのトップセールスをこなし、さらに西へ飛んでモンタバウアーに駆けつけた。
“最後の海賊”である三木谷は、筆者が人気漫画『ワンピース』になぞらえて密かに「メリー号」と名付けた愛機を駆って、こんな風に常に世界を飛び回っている。その姿はソニーの盛田昭夫ら、戦後の日本経済を牽引した海賊たちを彷彿とさせる。1&1のセレモニーは、意外な人物のビデオ・メッセージで始まった──。日本の岸田文雄首相である。岸田首相は何を語ったのか。そして、三木谷はドイツでどんな商談をしたのか。
(後編に続く)
【プロフィール】
大西康之(おおにし・やすゆき)/1965年生まれ、愛知県出身。ジャーナリスト。1988年早大法卒、日本経済新聞入社。日本経済新聞編集員、日経ビジネス編集委員などを経て2016年4月に独立。『ファースト・ペンギン 楽天三木谷浩史の挑戦』(日本経済新聞出版社)、『流山がすごい』(新潮新書)など著書多数。『起業の天才! 江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男』(東洋経済新報社)が第43回「講談社本田靖春ノンフィクション賞」最終候補にノミネート。最新刊『最後の海賊 楽天・三木谷浩史はなぜ嫌われるのか』(小学館)が発売中。