さらに通信事業に関わるドイツの大臣2人が挨拶し、最後に三木谷社長が登壇した。
「我々は今から5年前にこのジャーニーを始めました。(携帯電話ネットワークの)ハードウエアをソフトウェアに置き換える完全仮想化をやる、と話しても、誰も信じてくれません。あるとても大きな通信会社の社長は、真顔で言いました。『ミッキー、それはとんでもなく難しいことだぞ』と。たしかにそれはものすごく難しかった。それでも我々は諦めませんでした」
「完全仮想化を成し遂げた楽天が参入したことで、日本の携帯電話料金は2割下がりました。今日から始まる1&1の挑戦は、ドイツの社会、経済にとてつもなく大きな影響を与えることでしょう」
誰もが「不可能だ」ということに挑戦し、最後まで諦めずにやり抜く。「やれるもんならやってみろ」としたり顔で言うエスタブリッシュメントをアッと言わせる。世界に打って出る「海賊」らしいスピーチだった。日本企業も初めから、今のように保守的だったわけではない。通信業界だけを見ても、世界をアッと言わせる試みは何度もあった。
例えば1999年にNTTドコモがサービスを開始した「iモード」は通話しかできなかった携帯電話で文字や画像がやり取りできるようにした。世界初のモバイル・インターネットサービスだ。
「世界の通信会社で、iモードの技術が要らないというところは1社もない」