マネー

遺言書に「遺産は均等に分ける」と書いてもトラブルは起こる 揉めないためには「なぜこう分けるのか」の付記が重要

「遺言書を残しておけば安心」とは言い切れない(写真/AFLO)

「遺言書を残しておけば安心」とは言い切れない(写真/AFLO)

 相続トラブルを回避するために重要なのが、「遺言書」だ。故人が法的に有効な遺言書を残していれば、原則としてその通りに遺産が配分される。

 それならば、子供たちが争わないように「遺産は均等に分ける」という遺言書を残せばいいと思うかもしれないが、そう簡単ではない。『トラブルの芽を摘む相続対策』の著者・吉澤諭氏(吉澤相続事務所代表)が言う。

「私のところに相談に来る方もよく“子供たちで等分してほしい”という話をされますが、そもそも均等に分けられるケースなどほぼありません。仮に遺産が現金だけなら等分にできますが、現実には不動産や株式、貴金属などがあって完全に均等にはできないものです」

 さらに難しいのは、仮に遺言書で金額的に均等な分け方を指定できても、子供が不満に思うリスクが残ることだ。

「現金を等分したとしても、子供たちからは“私は親の介護をしたのに、何もしていない妹と同額なのか”とか“兄のところは子供が3人いて、いつもたくさん小遣いをもらっていた。子供がいない自分は一銭ももらっていない”とか、不平不満は様々なかたちで噴出します。生前の親とのかかわり方が違うから、等分でもトラブルは起きる。

 私が相談を受ける時は、不満が出そうな要素をひとつずつ炙り出していきます。“預金を均等に分けても、生命保険の受取人は長女一人になっています”とか“あなたの介護施設の入居金を長男が出していましたよね”といった手順で懸念点を抽出します」(吉澤氏)

次のページ:遺言書を書く前に家族会議の開催を
関連キーワード

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。