第三軌条方式の特徴
「第三軌条方式」には、長所と短所があります。おもな長所としては、架線を支える架線柱などの設備がいらないので、架線方式よりも設置コストが安いことや、景観を損ねない点が挙げられます。いっぽうおもな短所としては、感電の危険性が高いため電圧を高くできないことや、「架線方式」よりも車両の走行速度が制限されることが挙げられます。
日本の鉄道では、地下鉄の一部路線や、そこに乗り入れる民鉄路線で「第三軌条方式」が採用されています。これは、第三軌条方式を採用する方が地下鉄のトンネルの断面を小さくでき、建設費を減らすことができるからです。
上の図は、「架線方式」と「第三軌条方式」のトンネルの断面を示しています。この図でわかるように、「第三軌条方式」のほうが「架線方式」よりもトンネルの断面が小さくできます。
ただし、「第三軌条方式」を採用すると、「架線方式」の路線に列車が乗り入れることができなくなり、不便です。また、「第三軌条方式」には先述したような短所があります。このため日本では、戦後に建設された多くの地下鉄路線で「架線方式」が採用されています。
ロンドンの地下鉄で使われている第四軌条方式
ここまでは、「第三軌条方式」について説明してきましたので、最後にめずらしい例として「第四軌条方式」をご紹介します。「第四軌条方式」とは、線路に4本のレールを敷く方式で、そのうち2本を走行用レール、残り2本を電力供給用レールとして使います。車輪は走行用のレールの上を転がり、集電靴は電力供給用レールと接触して電気を取り込みます。
上の写真は、ロンドンの地下鉄のサークルライン(環状線)の駅で撮影したものです。電車が走る線路をよくご覧ください。方向別にレールが4本ずつ敷いてありますね。電力供給用レールにはカバーがないので、ホームの上からでもよく見えます。