MWCがまだ「GSMワールド・コングレス」と名乗っていた1990年代、会場の主役は日本の通信機器メーカーだった。今のファーウェイのように米欧の大手通信機器メーカーより安くて高性能の機器をずらりと並べ、来場者を感嘆させた。今年もNEC、富士通、NTTドコモ、KDDIなど日本の通信関連企業もブースを構えていたが、お世辞にも盛況とは言えない状況だ。
そんな中、気を吐いていたのが楽天モバイル。楽天グループ会長兼社長で楽天モバイルの会長も兼ねる三木谷浩史氏は24日の深夜にバルセロナ入りし、25日は楽天モバイル傘下で海外展開を担当する楽天シンフォニーの幹部らと終日、打ち合わせ。MWCが開幕した26日からは分刻みのスケジュールでトップセールスを繰り広げた。
楽天モバイルは今回のMWCに合わせて2つの大きな発表をした。ひとつは「リアル・オープンRAN」のライセンス開始だ。
オープンRANとは特定の通信機器メーカーに依存しない通信ネットワークシステムのことだ。現在、日本とドイツで動いている楽天モバイルの「完全仮想化ネットワーク」は完全なオープンRANになっており、特定メーカーの通信専用機器を使っていない。従来の携帯ネットワークはエリクソン、ノキア、ファーウェイといった特定メーカーがキャリア(携帯電話会社)のシステムを丸抱えする形で構築してきたが、オープンRANにすることで楽天モバイルの設備投資は従来型より3割安くなった。