「思い返してみれば、引っ越し難民の後輩がサークル仲間である私に助けを求めてきた時点で、何らかのお礼を期待するのが間違いだったと思いました。さらに2人の仲間を誘ったのは私の判断であり、後輩が呼んだわけではないですしね……。缶コーヒー1本が後輩にとっては精一杯のお礼だったのかもしれません」
どうにか納得しようとしつつも、貴重な休日を割いて率先して手伝ったこと、その結果として自分がお礼の食事会をする羽目になったことがひっかかっているようだった。「この先、誰かに引っ越しの手伝いを頼まれた時、快諾できなそうで不安です」と話していた。
引っ越しに限らず、身近な相手に対して「してもらったら、これくらい返すのが当たり前」という認識では、衝突する原因にもなりかねない。頼まれごとは“無償でもいい”くらいの気持ちで引き受けるか、そうでなければ断ることが、トラブルを避けるコツかもしれない。
【プロフィール】
吉田みく(よしだ・みく)/埼玉県生まれ。大学では貧困や福祉などの社会問題を学び、現在はフリーライターとして人間関係に独自の視点で切り込んでいる。マネーポストWEBにてコラム「誰にだって言い分があります」を連載中。同連載をまとめた著書『誰にだって言い分があります』(小学館新書)が発売中。