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モラハラ夫は「自分は常に正しくて賢い」という“正義”の姿勢で妻に接する 「至らない妻を指導」という制裁が快楽に【堀井亜生氏×中野信子氏】

「自分こそ“正義”だ」という姿勢がモラハラに繋がるケースも(写真:イメージマート)

「自分こそ“正義”だ」という姿勢がモラハラに繋がるケースも(写真:イメージマート)

 厚生労働省の最新統計によると、離婚理由の男性の2位、女性の3位と上位にあるのが「精神的な虐待」、つまりモラハラだ。モラハラをする夫にはどんな傾向があるのか、そしてどうしてモラハラが起きるのか──『モラハラ夫と食洗機』を上梓した弁護士の堀井亜生さんと、脳科学者の中野信子さんがモラハラ夫の実態やモラハラの背景について語り合った。【全3回の第2回。第1回から読む

子供が夫と同じ行動をするように

堀井:モラハラ夫には自分の父親が母親に対して同じようなことをしていたというケースがよくあります。自分が幼い頃から見てきた父親の姿と、同じ振る舞いをしてしまうのです。

中野:人は「内的作業モデル」と呼ばれている、子供の頃にでき上がる行動のひな形のようなものをそれぞれが持っています。他者との関係を取る上での規範は、子供のうちに周囲の大人から学びます。それを考えると、我が子をモラハラ体質にしないためには、モラハラをする父親と距離を置くというのは重要なことかもしれません。

堀井:たしかに「自分の子供が夫と同じ言動をするようになってしまった」と相談に来た女性も少なくありません。

若い世代の「新型モラハラ」

中野:一時期、熟年離婚が話題になり「長年、夫の言動に耐えてきたが、夫が定年退職した瞬間に別れる」というケースをよく見聞きしました。あれはモラハラと関連があるのでしょうか。

堀井:まさにその通りです。以前はモラハラという言葉が浸透していませんでしたが、いまの熟年世代にはその知識があるので「夫がモラハラで」と説明してくれます。

 一方で、若い世代にもモラハラ夫はいます。女性が働くことに理解ある男性だったはずが、結婚すると妻を否定する言動をしてしまうタイプです。最初は妻の仕事を応援するつもりでも、結婚して自分と対等に収入を得ていることを実感すると、プライドが傷ついて、本音が出てきてしまうのかもしれません。そうしたケースは「新型モラハラ」といえるでしょう。

中野:私がかつておつきあいしていた男性がそのタイプで、私の方がうまくできることがあると気に入らず、あれこれと邪魔をして私が失敗すると喜ぶ人でした。とても長続きしませんでしたが、肩書も立派で最初のうちはがんばってくれるので、従順な女性なら、本質的な性格には目を瞑ってしまい、ずっとおつきあいを続けて可哀想な目に遭ったかもしれません。そういう男性って女友達だけでなく、男友達も少ないんですよね。

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