中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

【推し活・オシノミクスを考える】かつての「ヲタ」が「推し」になって変わった空気感 「それで人生楽しいの?」に辟易とする

「推し」と「ヲタ」は何が違うのか?

 さて、私は「推し活」の活動内容って、「グッズを買う」「イベント現場に行く」「その人のSNSをフォローし、時々コメントもする」「同好の士とオフ会をしたり交流をする」というものだと認識しています。でもこれってかつての「ヲタ」の活動と何が違うんですかね?

「ヲタ」は「オタク」の変化形で、「いい年してアイドルに血眼をあげてカネ使ってさ、さっさと結婚して卒業しろよw」みたいにバカにされていたものですが、「推し」という言葉になることによって、なんだか崇高な存在、リア充に昇華したような気がします。「ヲタ」が「キモい」「いい年して何やってるんだ」「現実を見ろ」的に批判されていたものの、「推し」だとこう変化した。

〈文化的活動に貢献する崇高なる存在かつ、文化的素養があって同好の士と交流をする社交的な方々。あなた方のそうした活動が、文化・経済をより発展させるのです〉

 まぁ~とはいえ、実質的に「ヲタ」と何が違うのかが分からない。ただ単に「ヲタ」を崇高風な言葉に変えたのではないのか……。なんとなく、男性が好んでいた女性アイドルやアニメ、グラドルは「ヲタ」で、女性も含まれる趣味の分野は「ヲタ」ではなく「推し」になりがちなのかな。

 以前から、フィギュアスケートや宝塚、ヴィジュアル系バンドのファンである「バンギャ」など、女性が熱心に応援をする娯楽はありました。旧ジャニーズの各グループにも熱心な女性ファンはいた。しかし、それらは2010年代は「推し」という言葉で括られてはいなかった。嵐のファンは「アラシック」だし、NEWSのファンは「パーナ(さん)」と呼ばれていた。

 かくして、「一つの対象に対して熱心に応援し、お金を使う存在」は昔からいたものの「推し」という名称を与えることで、「ヲタ」から脱却させることとなったのです。別に「ヲタ」でもいいじゃないですか? なんてことはさておき、今の世の中は「推し」一辺倒に。

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