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《M&A花盛りの外食業界》ゼンショーのロッテリア買収で生まれた「ゼッテリア」、吉野家は京樽を売却…米カーライルの100%子会社化で日本KFCはどう変わるか

ゼンショー傘下となったロッテリアが始めた新業態「ゼッテリア」の1号店(時事通信フォト)

ゼンショー傘下となったロッテリアが始めた新業態「ゼッテリア」の1号店(時事通信フォト)

 外食産業のM&Aによって、従来のファンの賛否が分かれることもある。千葉さんが指摘するのは「ゼッテリア」。ロッテリアを買収したゼンショーが2023年9月にオープンした新業態である。

「かつてエビバーガーやリブサンドポークといったヒットを飛ばしたロッテリアは、外食産業の様々な業態を買収していたゼンショーが初めて手に入れた念願のファストフードですが、ゼッテリアという新業態をスタートさせた。斬新な試みを評価する声がある一方で、『せっかくのブランドがもったいない』『伝統を壊さないで』という声がロッテリアファンから漏れ伝わりました」(千葉さん)

店舗の雰囲気や味、ブランドイメージが一変するケースも

 M&Aが及ぼす影響はコストやマーケットシェアなどの数字面に限らない。たとえ母体企業が変わったとしても飲食店を切り盛りするのは「生身の人間」だけに、経営者の交代が現場の士気を下げることもある。

「新しく来る人間がブランドに対する愛情を持っていないと、現場の人間と温度差が出て士気にかかわることがあります。実際、とある一大グループに買収されたもつ焼き店は従業員が江戸っ子のようにチャキチャキして元気があったけど、買収された直後に店を訪れると空気がどよーんとしていて従業員が一様に覇気のない表情になっていました」(千葉さん) 

 都内の40代女性もこんな経験を語る。

「近所にあった某ファストフード店はオシャレでハンドメード感あふれる店の雰囲気が好きでよく食べに行っていました。でもある時から急に店の雰囲気が変わってチープな感じになり、メニューも変わって味が落ちた気がしました。後で調べてみたら、ちょうど買収されたタイミング。かつての魅力が失われたことで、足が向かなくなりました」

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