やりたい子がやって参加賞をもらえるようなスタイルも
埼玉県の小学校で教鞭をとるSさん(30代男性)は、「自由研究で家庭環境が垣間見える」という。
「まず、“経費”のかけ方で、家庭によって子供の教育に対する価値観というか、金銭感覚の違いがあることは感じます。また、今の時代に限りませんが、結局、研究ネタを調べたりまとめたりするのが“親の宿題”になっている現状があるのは否めません」
親の宿題になっていることについて、どう思うのか。
「子供がすることなので、どうしても何かしら親を頼る面は出てくると思いますが、やはり基本的には子供が自主性を持って取り組んで欲しいと思います。
ただ今は共働きの家も多く、親が忙しくてなかなか自由研究の面倒まで見ていられないというケースもあるので、私のクラスでは、自由研究になりうるテーマのヒントを伝えるようにはしています。方法についても、たとえば『調べ物はネットだけじゃなくて図書館に行ってみようね』と提案するなど、多様な調べ方があることを伝えています。
とはいえ、個人的には“任意”でいいとも思います。やりたい子がやって、ただしやったら参加賞もらえるよ、みたいなスタイルで」(Sさん)
さかのぼれば戦後から存在した「自由研究」。ネットが普及し家庭のあり方も変わった今、どのようなかたちで生き残っていくのか。その意義が問われる中、教師の側の受け止めも様々なようだ。(了)