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《変わる推薦入試のあり方》東洋大学「学力テストのみ推薦入試」導入の余波は関東の他大学にも 「身についている力を評価する入試がしたい」という大学側の思い

大東文化大学も「学力テスト型」推薦入試開始を発表、他の大学も検討

実際、取材で接した他の大学の関係者たちも口々に「東洋大学のように、学力テスト型の推薦入試をしようかと検討している」と話している。

 東洋大学がこの新入試を発表した後に、大東文化大学も6月に学校推薦型選抜で「公募制基礎学力テスト型」の入試を始めると発表した。学校推薦型選抜とは出願に学校長の推薦が必要となる推薦入試だ。大東文化大学の新推薦入試は「評定平均値がいくつ以上でないと出願できない」といった条件はなく、小論文や面接なども課さず、国語と英語の2教科各60分ずつのマーク式のテストのみを実施する。

 東洋大学のように500人を超える募集定員の大がかりなものではなく、従来からやっている公募制学校型推薦選抜の枠の中での新しい試みで、募集定員もそうは多くないという。

「数年前から公募制推薦選抜の見直しを検討しておりました。従来は高校の評定平均値を出願の基準とし、重視してきました。しかし、評定平均値は体育や音楽などの実技科目も含めての総合的な成績の平均の数値なので、大学の各学科で必要な基礎学力を測るには適さないこともあります。そのために学力テストを課して、受験生の科目別の基礎学力を測りたいと考えております」(大東文化大学副学長・入学センター所長・堀川信一氏)

 ただ、東洋大学とは異なり、高校から提出される調査書の内容も合否の判定の目安にするという。高校での成績を評価するという点では従来の推薦入試に少し近いものだ。

 東洋大学が投げかけている「総合型選抜では受験生の能力を測るのがむずかしい」という課題を訊くと、「体験授業の受講を総合型選抜の評価のひとつとします。実際にディスカッションしたり、レポートを書かせたりすることで受験生の適性や資質をみています」(前出・堀川氏)

 これを聞いて思い出すのは、新卒採用での面接試験では学生の能力や資質がなかなか測れなくなっているため、大学3年の夏にインターンシップを実施し、働かせてみて評価をするという流れだ。高校生にしろ大学生にしろプレゼン能力が高くなっているために、面接だけでは判断がむずかしくなっているのだろう。

 これ以外にも学力型の推薦入試の開始を発表した大学がある。

 関東学院大学は総合型選抜で「基礎学力評価型」入試を導入する。マークシート形式のテストで国語、英語、数学で、学科やコースにより指定する教科や受験科目数が異なる。

 面接もあるが公式サイトに「学校の授業 テスト科目の学習を頑張ってきた人」「基本的な学力を中心に評価します」とあるため、学力で合否が決まる入試とみていいだろう。栄養学部は専願、経営学部は専願と併願があり、他の学部は併願である。

 また、共立女子大学も総合型選抜で「基礎学力方式」の入試を開始する。国語・英語のマークシート形式のテストと調査書、事前課題で判定される。家政学部(食物栄養学科 管理栄養士専攻)と看護学部では理科、建築・デザイン学部では基礎デッサンが追加される。併願が可能な入試となる。

 調査書や事前課題も評価するが配点は小さいので、学力テストで合否が決まる入試とみて良さそうだ。

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