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将来的な南海トラフ地震で注意すべき「半割れ」地震の連発 後発の被災地では充分な救援や支援ができなくなる懸念

1361年「正平東海地震」以降の南海トラフにおける地震の発生履歴をもとに算出した「半割れ」の地震が連発する確率

1361年「正平東海地震」以降の南海トラフにおける地震の発生履歴をもとに算出した「半割れ」の地震が連発する確率

 今回の日向灘地震はM7.1にとどまったが、南海トラフ地震の最大Mは9.1と想定されている。今後M8クラス以上の南海トラフ地震が発生すれば、悪夢が日本列島を襲う。東北大学災害科学国際研究所准教授の福島洋氏が解説する。

「南海トラフ地震には、過去には想定震源域の広範囲が同時にずれ動く『全割れ』と、紀伊半島を境に東西のどちらか半分がずれ動く『半割れ』がありました。半割れ地震の場合、先に発生した地震からしばらく時間を空けて、もう片方で再び地震が発生する可能性が高いです。1361年以降、南海トラフ地震は6回発生していますが、そのうち2~4回が半割れの連発でした。半割れが怖いのは、地震や津波で大きな被害が出ている地域の救出や支援、復旧活動をしている間に再び激しい揺れや津波に襲われること。後発の地震の被災地では、充分な救援や支援ができない可能性があります」

 福島氏ら東北大学などの研究グループは、世界で過去に発生したM7以上の地震およそ1500回分の統計データと、1361年「正平東海地震」以降の南海トラフにおける地震の発生履歴をもとに、「半割れ」の地震が連発する確率を算出。南海トラフでM8以上の「半割れ」地震が起きた後に、同程度の地震が起きる確率が「平時よりどれだけ高まっているか」を導き出した。

「1日以内に連続して大地震が発生する確率は1.4~64%で、平時に比べて460倍から2万1000倍に跳ね上がります。1週間以内に連続する確率も、2.1~77%と平時と比べて99倍から3600倍に。2週間以内では最大2000倍、1か月以内になると最大910倍と倍率こそ下がりますが、それでも平時に比べれば充分に高い数値で、長期間の備えが必要だということが言えるのではないでしょうか」(福島氏)

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