川辺謙一 鉄道の科学

【4日間で全部回りきれない!】ドイツで開催される世界最大の鉄道見本市「イノトランス」 その見どころと鉄道業界における“欧州の存在感”

なぜベルリンで開催されるのか

 なぜこれほど大規模な鉄道展示会がベルリンで開催されているのでしょうか? その理由は「イノトランス」の公式サイトに記されていませんが、私は実際に会場に行き、次の3つが関係していると考えました。

【1】実物車両を展示できる国際展示場がある
【2】鉄道関連の大手メーカーがドイツにある
【3】ドイツが鉄道技術を先導した時代がある

【1】の「実物車両を展示できる国際展示場がある」は、会場である「メッセ・ベルリン」の大きな特徴です。このような国際展示場は、世界広しと言えどかなりめずらしいです。

【2】の「鉄道関連の大手メーカーがドイツにある」は、首都ベルリンで開催する大きな要因になっているでしょう。ドイツには、大手電機メーカーの鉄道部門であるシーメンス・モビリティ社(本社はミュンヘン)があり、かつては大手鉄道車両メーカーであるボンバルディア・トランスポーテーション社(本社はベルリン)がありました。また、これら2社は、フランスのアルストム社と合わせて「鉄道関連メーカーのビッグ3」と呼ばれていましたが、その後売上高で3社とも中国の中国中車に抜かれ、2021年にボンバルディア・トランスポーテーション社がアルストム社に吸収合併されました。

【3】の「ドイツが鉄道技術を先導した時代がある」は、第二次世界大戦前の話です。ドイツには、かつて国をあげて鉄道のスピードアップに取り込んだ歴史があります。1903年には、世界の鉄道で初めて200km/hを突破し、1931年には230kmを記録。これは、1954年にフランスに抜かれるまで、長らく鉄道世界最速記録でした。

「イノトランス」の会場となった「メッセ・ベルリン」の入口

「イノトランス」の会場となった「メッセ・ベルリン」の入口

次のページ:日本における鉄道技術の海外展開の課題
関連キーワード

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。