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【東大の学校推薦型選抜に続々合格】新コース「探究科」開設で注目を集める山形東高校の取り組み 「推薦入試は地方ならではの経験値を活かせる」と同校教諭

一般選抜は絶対的に首都圏の生徒が有利

「一般選抜は首都圏の受験生が有利」

 これはその通りであろう。この春に、早稲田アカデミーの大学入試分析会を取材したが、東大にしろ、早稲田や慶應にしろ、先取り学習をしないと合格できない入試の内容になっている。非常に高度な問題が出るので、高校の教科書の内容をしっかり勉強しただけでは解くことはできない。数学は高度だし、英語も見たことがないような単語が出てくる。

 そういった入試をクリアするためには、高校のカリキュラムを早めに終えて、難問対策をしていく必要がある。そのため、たいていの中高一貫校では高校2年までに高校3年までのカリキュラムを終える。公立高校にも先取り学習をするところはあるが、中学から先取りをしている一貫校には進度でかなわない。中高一貫校は早くから具体的な受験対策に入っていき、たいていは高校2年の冬以降、生徒は受験勉強一辺倒になっていくところも多い。

 一方で山形東は文武両道の方針の下に高校3年の夏まで部活がある。秋から大学受験勉強に専念する生徒も少なくない。

 また、東北では、受験のすべてを網羅するような総合的な学習塾は、ほとんど宮城県・仙台に集中している。そうなると、小学3年の2月からSAPIXに通い、難関中学に進学したら鉄緑会やSEG、平岡塾といった中高一貫校を対象にした塾に入って勉強をしてきた生徒たちに比べ、東北地方の高校生たちは一般選抜では不利になろう。しかし、推薦入試ならば、学力とは違う力も評価される。

 今回は、山形県のトップ進学校の県立山形東高校が探究学習を始め、それをもとに東京大学の推薦入試で毎年合格者を出していることについて言及した。一般選抜は幼い頃から塾に通った首都圏や関西圏の中学受験組が有利であることは否めない。一方で、推薦入試は学力以外の部分も評価する。地方の高校生も推薦入試ならば、不利にならずに挑めるのではないか。次回は、山形東から東大へ推薦で進学した学生のインタビューをもとにした記事を掲載する。

(第2回に続く)

【プロフィール】
杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ)/ノンフィクションライター。2005年から取材と執筆活動を開始。『女子校力』(PHP新書)がロングセラーに。『中学受験 やってはいけない塾選び』(青春出版社)も話題に。『中学受験ナビ』(マイナビ)、『ダイヤモンド教育ラボ』(ダイヤモンド社)で連載をし、『週刊東洋経済』『週刊ダイヤモンド』で記事を書いている。【Xアカウント】@sugiyu170

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