郷土料理をフックに「多文化共生」の課題を模索
少数派の人たちに合わせてヴィーガン(菜食主義)の食事を徹底すると、他の人たちからは物足りないと不服の声が上がる。
多文化共生実現の難しさは、「誰しもを排除してはいけないが、少数派に全体を合わせようとすると不満や反発が起きる」点だと分かってきて、先行研究なども調べていく。確かに、肉が食べられない人がいるからといって野菜だけの食事ばかりにされたら、反発したくなるだろう。
そこで大豆で作った代替肉を使用した芋煮を作って、人々に食べてもらうなどの試みもした。代替肉は栄養面でメリットもあるものの、味に物足りなさを感じる人もいた。
大手教育産業で探究学習を専門とする社員はこの論文を読んで、こうコメントした。
「外国人の増加や多文化共生といった大きなテーマを、災害時に避難民に出す食事、郷土料理といった自分の生活圏にある切実な課題に結びつけ、フィールドワークを通して論じているところが非常によかったです」
多文化共生は社会学的な課題だが、扱っている代替肉などは食品学といった理系の分野でもある。そこで野口さんは、学際的な学びができる教養学部を志望した。
小学校から高校3年の夏までサッカーを続ける
野口さんは塾にほぼ通ったことがない。中学3年の夏休みに高校受験のための講習を受けたぐらいだという。小学校の時に公文式教室に通ったこともない。
では、何をしていたかというと、小学生からサッカーを中心に活動し、中学では山形のクラブチームに所属し、高校時代も高校3年の夏まではサッカーの部活を続けた。
「中学時代、サッカーをやっていた仲間たちが勉強もちゃんと頑張っていたので、自分もそうしなければと思った。環境がよかったです」という。