パイオニアだった日本
日本は、鉄道(正確には軌道系)における自動運転のパイオニアでした。1981年に開業した神戸新交通ポートアイランド線(愛称「ポートライナー」)は、日本で最初の新交通システムであり、世界で最初に完全自動運転を実現した営業路線です。
いっぽう、現在の日本の自動運転の取り組みは最先端とは言いがたいです。自動運転や無人運転を実施している鉄道路線が、すでに海外の多くの国や地域に存在するからです。
たとえばフランスの首都・パリでは、地下鉄(メトロ)の2路線で無人運転を実施しています。電車の最前部と最後尾の車内は、乗客が座る座席になっています。
日本では、無人運転を一部の鉄道で実施しているものの、国内で一般に「地下鉄」と呼ばれる鉄道では実施していません。また、東京ディズニーリゾートを走るモノレール(舞浜リゾートライン)のように、運転操作をしない乗務員が車内を巡回している例もあります。その理由は複数ありますが、日本では鉄道が果たす社会的な役割が大きいゆえに、非常時に避難誘導などができる乗務員が求められることが大きく関係しているようです。
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