自宅の垣根に突っ込んでいた男の正体
マンションやアパートだけでなく、一軒家でも泥酔者に関するトラブルが発生することがある。父と母と姉とともに神奈川県の一軒家に住む大学生のCさん(20代男性)が自身の体験を明かす。
「何年か前の夏、夜の11時くらいに帰宅すると、我が家の庭にある垣根にスーツを着た男性が埋もれて倒れ込んでいたんです。道路にすぐ面したところだったので、不法侵入というよりは具合が悪くなって倒れたのかなと思い、近づいて声をかけたら、ただ酔っ払ってよろけて垣根に突っ込んでしまっただけでした」(Cさん)
特に事件性もなければ、急病ということでもなく安心したCさんだが、赤の他人に自宅の敷地内に留まられても困るので、そのスーツの男性を起こして、別の場所に移動させることにした。
「その男性は近所に住んでいる様子だったので、家まで送ってもいいかとは思ったんですが、それもちょっと踏み込み過ぎかという思いもあり、ひとまず近くの公園まで連れて行こうとしました。その間に一人で歩き始めたので、家に向かうのだろうと思って別れました。
ちなみに、その男性は別れ際に『ありがとう』と言いながら、名刺を渡してくれました。そこにはれっきとした中央官庁の名前が書いてありましたよ。まさか官僚が酔いつぶれて私の家の垣根に突っ込んでいたとは……」(Cさん)
スーツを着た男性が名刺を渡した意図は不明だが、Cさんはその文字を見て驚きつつも、安心した部分もあったと話す。
「“私は怪しいものではないですよ”という意味で名刺を渡したのかなと。たしかに自分の家の垣根に突っ込んでいたのが、スーツの男性ではなく、ちょっと怖そうな人だったら、その場で声をかけず、110番に電話をかけていたかもしれない。単なる“酔っぱらい官僚”だったから何事もなく終わりましたが、何か犯罪に関わっている人物だった可能性もあるし、私自身が当事者になることだってありうる。見ず知らずの酔っぱらいとの接触には慎重になるべきだと思った出来事でした」(Cさん)
闇バイトによる物騒な事件が多い昨今。宅配業者などを装って家屋に侵入する強盗もいれば、犯行の準備のために夜中にいろいろな家を下見をしている人もいる。見ず知らずの酔っぱらいならまだしも、凶悪犯罪に巻き込まれる可能性もありうるのだ。だからこそ「ドアの施錠をする」「怪しげなインターホンには出ない」「見ず知らずの人に簡単に声をかけない」といった方法で用心することは重要だ。酔っ払いトラブル遭った人々の体験談から学ぶべきことは多いのだ。