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ビジネス
日本の建設業「凄さと課題」

なぜ建設業界に“良くない”イメージがまとわりつくのか? 「ゼネコン汚職事件」に端を発して「談合利権」「土建国家」「天下り」のネガティブイメージが刷り込まれた歴史

民主党政権で再び増えた“公共事業バッシング”

 2009年、「コンクリートから人へ」をスローガンに掲げる民主党政権になると再び公共事業に対するネガティブ報道が増えます。

 民主党政権下の2010年は公共事業関係費が削減されたほか、既に決まっていた公共事業も「事業仕分け」で中止になるなど、建設業界は混乱し、厳しい状況に追い込まれます。「15年前を思い出したくない」と話す工事会社の経営者も多くいます。「『コンクリートから人へ』という言葉で社員とその家族が傷ついた」という話も聞きます。

 その後、2011年の東日本大震災以降、公共工事の防災における重要性についての報道が増え始めます。

 政権交代後の自民・公明連立政権(主に安倍政権)では公共工事関連の予算も増加の一途をたどり、建設業就業者の年収も上がり始めますが、建設業就業者数は横ばいから微増にとどまっています。

 1997年以降の公共投資額を他の先進国と比較すると、日本のGDP(国内総生産)と比較した公共投資の水準は、実はアメリカやイギリスと比較してそれほど多くありません。むしろ災害頻発地域である日本の気候的特性を踏まえると、河川堤防などはまだ他国比で少ないのです(※2021年・国土交通白書)。災害復旧を担う理系人材の育成や3Dプリンターの普及などにもっと投資をすべき、とも言えます。

もっと報道されるべき建設会社の災害復旧活動

 では、建設業界を報道するマスコミ側では何が起きていたのでしょうか? 大手新聞社の記者に対する土木学会のヒアリングでは、

・ロッキード事件のインパクトが大きく、土建業へのネガティブイメージが形成された
・医療にも利権はあるが、医者と土建業だと後者の方が批判の的になりやすい
・医療福祉は患者など「わかりやすい弱者」がいて「感情的に」批判しにくい
・マスコミは数字・統計よりも「感情的なわかりやすさ」が優先される
・ポジティブな内容はあえて記事にする必要はなく、批判の方が書きやすい
・新聞記者の86%が文系なので、災害対策もソフト対策に記者の関心が寄っており、科学的なハード対策には関心が寄りにくい
・東日本大震災後、公共事業に対する肯定的な記事を「空気的」に書きやすくなった。「被災者」という「わかりやすい弱者」が出たので

 という記者のコメントが挙げられています。

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