顔なじみの宅配業者が、まさかのピンチを手助けしてくれることもある(イラスト/腹肉ツヤ子)
相手の名前を聞いたり、事こまかに連絡先を交換し合ったりするほどではない。でも、顔を合わせたら、互いに微笑んで会釈して自然と近況を話したりする。日々の暮らしにはそうした知り合いの存在が大切だ。【頼りになる「名もなき友人」第5回】
心理カウンセラーの古宮昇さんは、こう語る。
「長いつきあいの友達ももちろん大切ですが、“程よい距離感の知り合い”もいいものです。利害関係がなく、相手に見返りを求めもしない。そうした関係ゆえ、変に構えることもなく対等でオープンにつきあえる。得てしてそうした相手が貴重で意外な情報をもたらしてくれたり、困ったときには予想以上に頼りになったりするものです」(古宮さん)
定期的に訪れる宅配や郵便、業者の人たちと顔なじみになれば、いざというときに助けてくれる存在になることもある。女性・Oさん(62才/パート)は、コミュニケーション能力の高さが功を奏した。
「毎週月曜に来る食品宅配のお兄さんと会話するようになり、天気の話から、さつまいものおいしい食べ方などのレシピ交換までしています。
昨年の秋のこと、お兄さんから『最近、お米が不足しているみたいだから、早めに頼んだ方がいいですよ』と教えられ、すぐ注文。その2~3日後にワイドショーで『令和の米不足』が報じられ、一斉にスーパーからお米が消えましたが、お兄さんのおかげで、お米に困ることはありませんでした。私自身あまり交友関係が広くないのでネットワークの広い味方を手に入れた気分です」