『小学一年生』創刊号の表紙(C)小学館
1925(大正14)年に誕生した学年誌『小学一年生』が、2025年4月号(2月21日発売)で創刊100周年を迎える。その一世紀の歩みを振り返ってみよう。
コンセプトは、初めての学校生活を送る子どものための総合情報誌だ。創刊時の副題は「趣味と学習模範カタカナ雑誌」。1926(大正15)年4月号の発行部数は3万部だったが、第二次世界大戦に突入した1939(昭和14)年1月号は実売19万8400部、翌年同月号は25万800部に伸びた。
しかし時局は悪化し、1941(昭和16)9月号のカラー口絵では空を舞う戦闘機のイラストとともに戦意高揚の詩が掲載されるなど、戦時色が誌面に現われた。終戦を迎えると、紙の生産量は戦前の最高年の7分の1に減ったが、人々は解放感のなかで活字や娯楽を求め、1946(昭和21)年1月に『コクミン一年生』として復刊。戦後から高度経済成長期にかけて部数を伸ばす。
「1970年代に発行部数はピークを迎えました。1972(昭和47)年1月号は発行部数128万部を突破、当時小学1年の約7割が読んでいたことになります」
そう振り返るのは、1967(昭和42)年に『小学一年生』編集部に配属され、1980年代に編集長を務めた児童文学評論家の野上暁氏(81)だ。最多部数を記録した1972年以降、入学シーズンの4月号は11年連続で100万部を超えた。
オリンピック記念号(1964年11月号)。巻頭の口絵でオリンピック種目を紹介。日本人選手が優勝したら左端に並ぶ〇を赤く塗り、大会中楽しめる仕掛けがなされていた(C)小学館
「学年誌は子どもの成長にあわせて編集します。例えば、小学1年生が習う配当漢字は48字(現在は80字)。入学前に発売される4月号ではまだ漢字を使わず、学習進度にあわせて徐々に漢字や文字数、内容も変えていくなどの配慮をしていました」
学年誌のなかでも『一年生』と『六年生』では、理解力にあわせて同じテーマでも見せ方を変えていた。例えば1970(昭和45)年の大阪万博の際は、『五年生』では「コレダケハカナラズ見よう!!」と「人間洗濯機」や「月の石」「タイムカプセル」などの写真を掲載しているのに対し、『一年生』ではイラストで紹介し、漫画のキャラクターが案内するなど“1年生の目線”が意識されている。