トップ5%の戦略コンサルタントの思考枠
標準的な戦略コンサルタントのアプローチでは論点のブレイクダウンから入るのに対して、トップ5%はしばしば最初の課題設定自体を疑い、問うところからスタートします。そして、問題をリフレーミングします。ここでは具体例で違いを実感していただきましょう。少し長い事例になりますが、ご容赦ください。
ある加工食品分野で上位2社がしのぎを削るシェア争いをしていました。どちらも標準品とプレミアム品を展開しており、プレミアム市場が全体の2割、標準市場が8割という状況でした。そんな中、2社のうちの1社は消費者調査によって、標準品ユーザーの中には標準よりいいものを使いたい、プレミアムがいいけれど高過ぎると考えている人が4割も存在することを発見します。
そこで、この会社は標準品とプレミアム品の間の価格帯に準プレミアム品を投入し、競合が2商品ラインのところ3商品ライン展開することで、「プレミアムを使いたいけれど高過ぎる」という先ほどの4割のユーザーを取り込み、シェアを一気に増やすことを考えました。ブランドマネジャーは経営会議での承認を得て商品開発を進め、満を持して準プレミアム品を投入しました。
しかし、結果は惨憺たるもので準プレミアムは市場全体の3%しか浸透せず、マーケティング費用だけが嵩み、事業全体の収益は低下してしまいました。この施策は経営トップも関わる重要案件であり、何としても成果を出さないといけません。傷が深まる前に提供価値の見直しや商品リニューアルなどによって準プレミアム商品の市場リポジショニングを講じることが考えられました。
実はこの事例のようなことは、どんな事業でも会社でも大なり小なり起こっている、ごく日常の風景です。この状況で、苦戦している準プレミアム品をどう巻き返すか考えるのは自然です。そして、ひとたび「準プレミアム品をどうリポジショニングするか」と問い=思考枠をセットしたら、その外を考えるのはなかなか難しいと思います。
では、一瞬であなたの「思考枠」を拡げて、非日常化してみましょう。
もし、あなたが競合の立場だったらここでどういう打ち手を考えますか? 準プレミアム品で対抗品の投入を考えますか?
いやいや、それ、ちょっとおかしいかもと思いませんか。準プレミアム品を投入した自社からの視点とは随分と風景が違って見えるはずです。
実際の検討詳細は割愛しますが、私たちはこのような「課題の前提を問うこと」から始まって、顧客にとって想定外の戦略にたどり着きます。