雨漏りは工事の不備だと思うのだが…(イラスト/大野文彰)
再生可能エネルギーとして注目される太陽光発電。一般の家庭でも、家の屋根に太陽光パネルを設置することは珍しくないが、一部業者による強引な勧誘や工事の不備が問題になることもあり、トラブル事例も少なくない。強引な勧誘を受けて設置した結果、なんらかの不具合が発生した場合、業者に損害賠償を求めることは可能なのか。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。
【質問】
実家でひとり暮らしをしている母が、太陽光発電の訪問販売で「いまだけ特別価格」と強引な勧誘を受けて契約しました。屋根にパネルを設置する工事を行いましたが、その後、しばらくして雨漏りするように。
工事の不備によるものだと思いますが、業者に言っても対応してくれません。損害賠償を請求することはできますか。また、業者の説明よりも発電量が少なく話が違うので、解約して返金してもらうことはできますか。(大阪府・会社員・48才女性)
【回答】
工事を伴う装置の設置について、自宅にセールスに来た業者に勧誘され、営業所に行かずに自宅で契約すると、訪問販売として特定商取引法が適用されます。
同法は、業者に対し、訪問販売の申し込みを受けたときは直ちに客に商品等の種類や代金など特定商取引法とその施行規則で定められた事項を網羅した書類(法定文書)を交付する義務を課しています。
客は法定文書を受け取った日から起算して8日以内(クーリング・オフ期間)に発送した書面で、クーリング・オフができます。もしお母さんが法定文書をもらっていなければいまからでもできます。クーリング・オフをすれば、契約が解除されますので代金の返還を求めることができ、太陽光発電装置が設置されて、工事費などがかかっていたとしても、業者は設置工事費用などの負担を要求できません。