日本の農業政策は「過剰な支援」にあたる
大臣が本当に「コメの生産は自由」と考えているのであれば、農水省が補助金政策を通じて生産調整を行ってきた事実を認めた上で、制度を抜本的に改革し、農家が本当に自由に生産できる環境を整えるべきである。しかし、そうした責任を果たす気もなく、都合の悪い事実を切り捨てるような発言をするのであれば、大臣の資格はない。
農業の貿易政策が食べ物の安定供給にどんな影響を与えるかを調べた研究論文がある(欧州委員会 JRC-IPTS他『農業貿易政策と食糧安全保障:因果関係はあるのか?』2014年9月)。この研究において、農業への支援が過剰になると、かえって食べ物の供給が減ったり、価格が上がったりすることがわかった。研究では、農業への支援を測るために NAC(名目支援係数)という指標を使っている。このNACが 1を超えると農業が保護されている状態を意味し、1.2を超えると支援が大きいとなる。研究によると、NACが 1.2以上になると「過剰な支援」となり、かえって悪影響が出る という。
日本の農業政策は「過剰な支援」にあたる。日本のNACは 1.2を超えた状態がずっと続いている。この研究でも、日本はスイスやノルウェー、韓国などと並び、世界でも特に農業支援が大きい国に分類されている。研究のデータでは、日本のNACは常に1.2を超えており、農業への強い保護が続いていることが明らかになっている。
なお、本調査は、2014年に発表されており、「当時と比べて現在の農業は格段に解放された」と政府は主張するかもしれない。しかし、例えば、三菱総合研究所『日本の農業生産を維持する国民負担の水準は?』(2023年)のレポートには、「どの指標でもOECD平均と比較して1.6倍から2.3倍ほどであり、相対的に高めというのが日本の保護水準の現状」とあり、2014年の調査と同様に、スイスやノルウェー、韓国などと並んで、保護額の高さが指摘されている。