江田憲司氏は財務省の改革が必要だと語る(時事通信フォト)
本誌・週刊ポスト前号(2025年3月10日発売号)で特集した“財務省解体”を求める声がさらに高まっている(*関連記事《【森友問題で処分された財務官僚たちのその後】佐川宣寿・元理財局長を高級住宅街で直撃 処分を受けた19人の多くが逆に出世街道、恵まれた“天下り先リスト”を公開》などを参照)。
かつての大蔵省接待汚職事件や金融危機の時以来の激しい批判だ。当時は国民の声を受けて政治が「大蔵省解体」に動いた。橋本龍太郎内閣が進めた中央省庁再編(橋本行革)で大蔵省から金融監督庁(現在の金融庁)を分離する「財政と金融の分離」が進められ、大蔵省は「財務省」に“格下げ”された。いわば「第一の解体」だ。
だが、いまや財務省は完全に復権。金融庁長官、内閣府事務次官、環境省事務次官など各省庁のトップに財務官僚を送り込み、霞が関に“植民地”を広げている。そして政治を支配し、国民に負担増を強いている。「今こそ第二の解体が必要ではないか」──立憲民主党元代表代行の江田憲司氏の意見を聞こう。
政治が主導権を握るために国税庁と主計局を分離せよ
財務省は「予算編成権」から「税制の企画立案」「国税の徴税・査察権」、そして実質的に金融行政まで握っている。こんな強大な権限を持つ官庁は世界のどこにもありません。
金融接待スキャンダルを受けて、橋本政権時に、私が総理秘書官として手がけた「財政と金融の分離」は、ある意味、その解体でした。自民党は大蔵省と一体となって政権運営してきましたから反対でしたが、「大蔵改革なくして行革なし」と言われた時代、私が強く推しました。
財務大臣と金融大臣は別にし、金融庁長官に検察庁出身者を起用した。財務省と金融庁間の幹部交流人事も禁止した。権限も人事も完全分離でした。
ただ、橋本政権後、自民党政権下で財金分離はなし崩しにされ、いつの間にか財務大臣が金融大臣を兼務、人事も財務官僚による植民地支配が復活した。もう一度、財金分離の徹底はもとより、財務省への権限の集中をなくす改革が必要です。