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川辺謙一 鉄道の科学

独特な振動や音を感じる「吊掛電車」、古い路面電車では今も現役運行中 乗り心地を左右する駆動装置のちがい

広島市街を走る路面電車(1900形)。もと京都市電で、「吊掛電車」である。筆者撮影

広島市街を走る路面電車(1900形)。もと京都市電で、「吊掛電車」である。筆者撮影

 鉄道は、多くの人にとって交通の手段としてだけでなく、趣味や娯楽の対象としても親しまれており、ときに人の知的好奇心を刺激してくれる。交通技術ライターの川辺謙一氏による連載「鉄道の科学」。第30回は「吊掛電車」について。

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 今回のテーマは、「吊掛(つりかけ)電車」です。これは、古いタイプの電車で、走行時に車体が大きく震え、床下から「ゴオオ」とうなるような音が聞こえるという特徴があります。現在も一部の鉄道や路面電車で使われています。

 なぜ「吊掛電車」では、このような振動や音が発生するのでしょうか? 今回は、その理由を探ってみましょう。

駆動装置の構造がちがう

「吊掛電車」は、近年よく使われる電車と駆動装置の構造が異なるので、走行時に振動や音が発生しやすいです。駆動装置は、主電動機(モーター)の動力を車軸に伝える装置のことです。

 下の写真は、新幹線電車の台車を撮影したものです。ご覧の通り、部品の名前を示すプレートが貼ってあるので、どれが駆動装置かわかりますよね。そう、右側の手前にあり、主電動機と車軸の間にあるのが、駆動装置です。

新幹線電車の台車(平行カルダン駆動方式)。JR東日本新幹線総合車両センター一般公開イベントにて筆者撮影

新幹線電車の台車(平行カルダン駆動方式)。JR東日本新幹線総合車両センター一般公開イベントにて筆者撮影

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