福岡県知事賞を受賞した『蜜な干し芋』
若者と高齢者活躍する場はまったく異なる
企業が安い給料でシニアを雇用し始めたら、若者の活躍の場がなくなる! 老害だ! ……そんな声が聞こえてきそうです。
でも、全然違います。体力があり長時間働ける若者が活躍する場と、ゆっくりと短い時間しか働けない高齢者が活躍する場は、そもそもまったく異なるからです。
つまり、シニア専用の雇用条件を定めて、七十歳や八十歳になっても活躍できる多様な場を、若者が働く現場とは別に創出することが大事なんです。
ばあちゃんビジネスがやろうとしていることは、結構、理にかなっていると思うんです。国全体の予算の中で高騰している社会保障費を、高齢者自身が輝く場を創って、高齢者の活躍によって何とか抑えていこうぜ、って話だから。
じいちゃんやばあちゃんたちは、別にロボットみたいに効率よく何かを生み出さなくてもいいんです。ただ、記憶の中にある知恵を活かしながらゆっくりと、少しずつ手を動かして成し遂げる仕事も、お金を生み出すひとつの経済活動です。
仕事をして収入を得る。手にした収入で欲しいものを手に入れる。そうして経済が回り、社会を支えていく──。そうした経済循環の中に高齢者が加わると、日本全体がもっと活気づくように思います。
※大熊充著『年商1億円!(目標)ばあちゃんビジネス』から一部抜粋して再構成
【プロフィール】
大熊充(おおくま・みつる)/1980年、福岡県うきは市生まれ。うきはの宝株式会社代表取締役。地元の高校を中退後、独学でデザインを学び、2014年デザイン会社を創業。デザイン会社経営の傍らソーシャルデザインを学び、地元うきは市の地域課題を解決すべく様々な活動を開始。生活に困窮し、生きがいを失っている高齢者に「生きがい」と「収入」を創出すべく2019年、うきはの宝株式会社を創業。福岡県知事賞を受賞した『蜜な干し芋』、発行部数5000部の『ばあちゃん新聞』など、ばあちゃんの知恵を活かしたヒット商品を続々と世に送り出す。75歳以上のばあちゃんがいきいきと働くうきはの宝の取り組みは、認知症専門家からも注目を集めている。