2047年の年金額を現在の貨幣価値に置きかえて考えると、どういう事態が待ち構えているか実感が湧く。
「現在の現役サラリーマンの手取り月収の35万7000円に対し、所得代替率が50.8%になると夫婦の年金は18万1000円ほどになります」(北村氏)
政府が安心とする所得代替率50%水準というのは、年金が月に3万9000円も減るということなのだ。
問題の金融庁報告書は、総務省の家計調査の「夫65歳以上、妻60歳以上」世帯のデータをもとに、年金だけでは毎月の生活費が約5万5000円不足するとして、年金以外に「30年間で約2000万円」の老後資金が必要だと試算していた。
しかし、夫婦の年金がさらに月3万9000円も減らされると、老後資金不足は2000万円では済まない。計算すると30年間でざっと3400万円が足りなくなる。
これが“バラ色”に脚色された財政検証から浮かび上がる年金の「不都合な真実」なのだ。
※週刊ポスト2019年9月13日号