2月下旬の3連休に続き、3月にも3連休、そして4月にはゴールデンウィークがやってくる。全国の宿泊施設にとっては書き入れ時だが、そうしたタイミングではホテルのサービスが落ちることも考えられるという。代々、有名ホテルを経営している家に生まれ、小さい頃から多くのホテルを見てきたコラムニスト・小林千花氏が宿泊施設の事情と「客側が取るべき簡単な対策」についてリポートする。
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連休になると、ホテルや旅館の宿泊料金は普段よりアップするケースが多い。しかし、それにともなってサービスの質が向上するかといえば、むしろ逆であることが少なくないようだ。
チェックイン待ちで長蛇の列ができていたり、朝食バイキングで待ち時間が発生したり──中には朝食を食べるために「1時間待ち」ということもある。連休を使ってせっかく旅行しているのに、そんな状況だとガッカリしてしまう。あるホテルのマネージャー・Aさんに実態を聞いてみた。
「連休の時は、チェックインの作業に追われるあまり、スイートルーム以外のお客様は客室までの案内はできないことが多いですね。繁忙期はアルバイトや実習生のスタッフも多いため、正直サービスの質が落ちてしまうこともあります。なるべくすべてのお客様に普段通りのサービスを提供したいですし、多くのホテルでそのための努力をしていると思いますが……」
多くの場合、原因は人手不足だ。宿泊業界は夜勤や休日の出勤など不規則な勤務があるというイメージがあり、慢性的な人手不足に陥っている。
特に近年は外国人観光客の増加や宿泊施設の増加に対して人手が追いついていない。観光庁の資料によると、宿泊分野での有効求人倍率は6.15倍(平成29年度)と、全職業(1.38倍)の5倍近くとなっている。具体的な数字で見ると、約115万人の求人に対して、約19万人しか求職者がいない状況だ。
こうした状況はすぐには解消されそうにない。では、少しでもチェックインで普段通りのサービスを受けるにはどうすればいいのか。Aさんがシンプルな方法を教えてくれた。