そのケアマネは本当にあなたと家族を思っているか
──病院から自宅に戻って在宅介護をする上で欠かせないのがケアマネジャーだ。要介護認定を受けた人が適切な介護サービスを受けられるようにケアプランを作成し、事業者との連絡や調整を含めて利用者の介護サービス全体をマネジメントするキーパーソンだが、そこにも問題があるという。
山口:私の場合、山中先生を紹介してくださったのもケアマネさんだし、母がデイサービスに行きたくないとわがままを言ったときも、優しく言葉をかけてくれたりと、本当にお世話になりました。幸せな最期を迎えるために、ケアマネさんとの出会いは大事だと思います。
山中:いま問題になっているのがケアマネの9割が併設型といって、施設などと一緒になっている事業所に所属している人が多いことなんです。併設型がすべて悪いというわけではなく、患者さんの情報を共有できるメリットもあるんですが、家族が望んでいない過度なデイサービスを勧めたり、在宅介護を求めているのに「施設の方が楽ですよ」と勧めたりするケースがあるんです。
でも、大事なことは、家でも介護できるし、介護に疲れたときは一定期間施設で見てもらうショートステイもある、デイサービスもある、医療的な需要の高い人には2~3週間のレスパイト入院もある。そうしたいろんな選択肢を、ご家族に寄り添って提示できることですよね。「利益誘導型」のケアマネは地域包括ケアシステムを形骸化させてしまいます。
山口:母は「要介護5」になるまで介護サービスをほとんど利用しませんでした。手すりをつけて、車いすを貸してもらったくらい。効率の悪い客だったのかもしれません(笑い)。
山中:それが本来あるべき姿ですよ。ケアマネもそうですが、在宅医だって合わないなら変えたっていい。私のクリニックには月60件くらい新規の患者さんが来ますが、3分の1はほかの在宅医療機関から移ってくるかたです。
いまは患者さんが医療機関を選ぶ時代。最期の時間に誰とかかわり、どう過ごすかは、ご本人とご家族の幸福度に影響しますから。
山口:たとえ家族がいなくても、自宅で最期を迎えられるようなサービスを提供している医療チームが現実にあることを、たくさんの人に知ってもらいたいです。
※女性セブン2020年4月9日号