世間の関心は新型コロナの「第2波」に移っている。東京都の新規感染者数が100人を超える日が続いた現状を不安に感じる人は多いはずだ。
しかし経済的負担と我慢を強いられた自粛期間に戻りたくないのもまた事実。十分な補償や緻密な検証もないまま自粛を受け入れられないという声は多い。
自粛の大きなデメリットである「経済への悪影響」は綿密に検証されるべきだ。経済評論家の塚崎公義氏が指摘する。
「経済の観点から言えば再自粛なんてとんでもない。自粛中は『こんなに感染リスクが高い中で外出する人は、命が大切ではないのか』という風潮がありましたが、自粛で働けないことは経済的な意味で命の問題に直結する。政府は新型コロナの重症患者数や死亡者数と、自粛による経済的ダメージでの破産者数や自殺者数などを比較検討し、バランスをとるべきです」
約2か月の緊急事態宣言期間中のバランスは「経済的なデメリットが大きすぎた」という意見が多い。経済ジャーナリストの荻原博子氏が語る。
「4月の緊急事態宣言前後からは、新型コロナに関連して約3万人が失業しています。数か月ほどは失業手当があっても、再就職の目処は立たない。ある学生団体の調査では、回答した学生の13人に1人が大学を辞める検討を始めていると回答しています。
企業の倒産件数にしても、裁判所の業務縮小期間中は実際よりも少ない数字しか報告されなかったはずで、これから倒産件数は次第に増えていくでしょう。こうした状況で再び緊急事態宣言や自粛要請があったら、年間2万人近くまで減少していた自殺者数がまた増加し、3万人を大きく超えてしまう可能性があります」