「即時性も大きな魅力です。私たち2021年卒は、就活中に新型コロナウイルスが猛威をふるい就活に大きな変化が訪れました。就活YouTuberたちはすぐさま、新型コロナウイルスが就活に与える影響を解説したり、コロナ禍で急増したオンライン面接の対策動画を出したりと、変化に応じた発信をしてくれました」
たしかに、開催に準備期間の必要な就活イベントや、出版までに時間のかかる就活本ではこのような急激な変化には対応しにくい面もある。新型コロナウイルスの感染拡大で大きな影響を受けた2021卒にとって、YouTubeの存在は例年以上に心強い存在となったようだ。
「とはいえ、やはりYouTubeにも限界はあります。例えば、模擬面接をしてフィードバックをもらったり、エントリーシートの添削をしてもらうなど、人と対面でやらないと成立しない対策も多いので……。それらは大学のキャリアセンターや就活イベントを活用しましたね」
就活YouTuberはあくまで一方通行な情報発信がメインとなる。いくらコメント機能やSNSで視聴者の就活生とコミュニケーションをとっても、いつでも相談に乗ってくれる大学のキャリアアドバイザーのきめ細かな対応には敵わないだろう。個別に就活生の指導を行ったり、面接やグループディスカッションの練習の経験を積ませる役割は、やはり大学の就職課やキャリアアドバイザーなどに分がある。
しかし、これまで就活産業が担ってきた役割の一部が、就活YouTuberに取って代わられている側面があるのも間違いない。就活YouTuberの台頭、そして新型コロナ禍を経て、就活生たちを取り巻く環境も徐々に変化しつつあるようだ。
取材・文■茂木響平