手数料の負担増は通帳発行だけではない。みずほ銀行(旧・第一勧銀)OBでもある法政大学大学院教授の真壁昭夫氏がこう話す。
「今年に入って、すでにみずほ銀行はATMの振込手数料を引き上げ、他行も追随する動きを見せています。さらに、今後は『口座管理手数料』の導入も広がるでしょう。
すでにりそな銀行や埼玉りそな銀行は2年稼働していない口座に年1320円(税込)の口座管理手数料を課し、三菱UFJ銀行も同様の検討に入ったと報じられている。その先には口座を持っているだけでお金がかかる『口座維持手数料』の導入まで視野に入ってくるでしょう。すべての銀行が手数料の新設や引き上げを検討する状況にあると考えられます」
銀行の支店は統廃合が進み、かつてはあちこちで見られた銀行のATMもコンビニのATMに取って代わり、店舗もATMも減少傾向にある。
みずほフィナンシャルグループを率いる坂井辰史・社長も『週刊ダイヤモンド』(2018年9月15日号)のインタビューに「ATMは公衆電話のようにほぼなくなる時代が来るかもしれない」と答えている。預金者の利便性は薄れる一方、手数料の負担増が進んでいる。そうした流れがさらに広がるのは避けられないだろう。
「みずほに限らず、大手銀行ではリテール(個人向け)部門よりもホールセール(大企業向け)部門の方が重視される傾向にあります。どうしてもリテールはホールセールより目先の収益が低く、行内評価も低いので銀行員の出世競争にも有利に働かない。その結果、リテール軽視につながっているのです」(前出・江上氏)
※週刊ポスト2020年9月11日号