ドラマ『半沢直樹』(TBS系)で「帝国航空」の再建に動く半沢直樹に立ちはだかるのは、江口のりこ演じる「白井国土交通大臣」と“黒幕”として君臨する「箕部幹事長(柄本明)」。劇中では、一企業の再建に介入する政治家が描かれているが、現実の世界ではどうなのだろうか。企業再建への政治介入に伴い、省庁間で主導権争いが起きたこともある。
社長の“行方不明事件”
2004年に破綻寸前になったダイエーの経営再建では、竹中平蔵・金融担当相率いる金融庁と、中川昭一・経産相率いる経産省の対決構図となり、迷走を極めることとなった。
2004年8月、産業再生機構を活用せず、銀行出身役員らと練った独自の再建案で動くダイエーに対し、竹中金融担当相が「先送り型では何ら解決にならない。むしろ問題を大きくする」と牽制した。それを端緒に銀行団は再生機構を使った再建へと舵を切ったが、2002年の再建計画を主導した経産省は、再生機構入りに難色を示していた。そして高木邦夫社長は民間主導の経営再建を進めた。
同年10月に産業再生機構とダイエーの折衝が行なわれるもまとまらず、金融庁と再生機構はダイエーと主力銀行に「最後通告」の書簡を送ると、それに反発したのが中川経産相だった。
「最後通告を出すのであれば主務大臣である私に言うのがルール」と不快感を示したのだ。金融ジャーナリストの小泉深氏が解説する。