10都府県で緊急事態宣言が3月7日まで延長された。コロナ感染抑制のためにテレワークを導入している企業も多いが、まだまだ自宅の仕事環境を整えられない人たちもいるようだ。自宅以外では、ビジネスホテルのテレワークプランなどもあるが、なかには「ネットカフェ」で仕事をしている人たちもいる。
ネットカフェといえば、漫画やインターネットなど娯楽をイメージしがちだが、コロナ禍では感染対策を取ったうえで、立派な「オフィス」としても機能しているようだ。Wi-FiをはじめOfficeソフトが導入されたパソコンや複合機などの設備、さらには完全防音個室を設ける店舗もある。セキュリティ面の問題で、業務上利用するPCに制限がある人にとっては、店舗備え付けのPCを仕事に使うわけにはいかないが、そうした場合はノートPCを持ち込んで仕事している人もいるようだ。
都内在住でIT企業に勤務する40代の男性・Aさんは、週に3日ほどネットカフェに向かう。昨年5月から原則、出社禁止になり、自宅やカフェなどで仕事をしていたが、今年からネットカフェを利用し始めた。きっかけは、育児休業中の妻との関係がうまくいかなくなったことだった。
「普段、家にいない私がいると、やっぱり妻は色々と気を遣うみたいで、些細なことでイライラするようになりました。私も慣れない家事を手伝いますが、それが逆効果になって関係がギクシャク。今は週に3回くらい、ネットカフェで仕事をしています。そのおかげでお互い適度な距離感を保つことができています」(Aさん)
Aさんは午後から仕事の時は6時間、1日利用する時は9時間パックを利用。鍵付きの防音個室がお気に入りで、重宝しているという。1日あたり約2000円前後の負担になるが、Aさんの会社ではテレワーク手当として月2万円が支給されることから、自己負担は1万円程度。個室の快適さは「もはやオフィス以上」と評する。
「金銭的な負担は覚悟していましたが、それを上回る快適さです。自宅よりネット回線が高速ですし、大きな画面のモニターを利用できるのも大きい。エアコンは快適だし、ドリンクもある。オンライン会議がある時は、完全防音個室があるネットカフェに行きます」(Aさん)