高齢となった親との関係性はなかなか難しいものがある。介護、お金、相続、親戚付き合いなど、さまざまな問題が子どもたちには降り掛かってくる。さらに、親子の問題は「実の親」より「義父母」のほうが、一筋縄ではいかないことがある。例えばもし、妻の親が「おひとりさま」になったら、夫はどのように関わればいいのか。
自宅に義理の親を引き取る場合には様々なトラブルが起きるものだ。千葉県に住む57歳男性は、義父の死をきっかけに体調を崩した義母(77)を、栃木の実家から一時的に引き取った。男性が言う。
「妻は昔から親子の折り合いが悪く、1か月もしないうちに義母との喧嘩が絶えなくなりました。結局、義母は栃木に帰ったのですが、その後、妻の妹から電話があり、『お義兄さんまで一緒になっていじめたから、お母さんは“いっさい遺産は渡さない”と言っている』と告げられたんです。そもそも、義妹夫婦は実家の近所に住んでいたのに、義母の引き取りに消極的だった。良かれと思ってしたことが裏目に出て、納得いきません」
90歳の義母の面倒を妻と見ている経済アナリストの森永卓郎氏はこう言う。
「我が家の近所に住む義母とは、毎日夕飯を一緒に食べています。義父母とのトラブルを回避する秘訣は、『近くに住んでも同居はしない』ことだと思います。昔から言う“スープの冷めない距離”が理想的ではないでしょうか」
それまで関係良好な義父母が相手でも、「おひとり」になれば状況は変わる。福岡県に住む男性(65)は、車で1時間ほどの距離にある妻の実家でひとり暮らしをする義母(85)に「振り回されている」と嘆く。
「義父が健在の頃は毎週末のように妻の実家を訪れ食事をするなど仲が良かったんです。それが義父の死後、私への義母の依存が強くなってきました。一番の問題は、義母と妻の仲が険悪になったこと。義父の死後、2人は些細な諍いを重ねた挙句、口も利かなくなったんです。妻が義母からの着信を無視し続けたせいで、今では私の携帯に直接、『テレビが壊れた』『役所に連れて行って』としょっちゅう電話がきます。そのたびに『娘は薄情だ』などと愚痴を聞かされる。正直、私も電話を取りたくないです……」