高齢化が進むなか、死の順番が親子逆になるケースも珍しくなくなっている。半年ほど前、5歳下の妻に先立たれた東京都在住の65歳男性が語る。
「大阪でひとり暮らしをするパーキンソン病の義父の様子を見るために、妻は月に1~2度、泊まりがけで通っていました。妻が他界して義父の面倒を見る人がほかにいないので、現在は私が大阪に通っています。
これから先は体力的に厳しくなるので東京に引き取ろうかと思いましたが、近所に住む私の長男夫婦には『お祖父ちゃんを引き取れば、私たちが面倒を見ることになる』と猛反対されています」
千葉県在住の70歳男性は、妻の両親と二世帯住宅で同居していたが、5年前に義父が他界、3年前には2歳下の妻に先立たれてしまった。現在は要介護2の義母と2人暮らしをしている。
「89歳の義母は日常的にサポートが必要で、私が面倒を見ています。義父母には若い頃から金銭面での援助や孫の子守りをしてもらって世話になってきたので、介護するのは自分たちの務めだと覚悟はしていたのですが……」
男性はそう語るが、一つ心配なことがあるという。
「いま暮らしている二世帯住宅は義父母が建てたものです。義母が亡くなったら、自宅を含めた全財産が義兄のものになってしまうのではないか。養子縁組もしていないし、遺言書もないため、相続の権利がない私は追い出されてしまうリスクがある。仮にそうならなくても、『家賃を払え』と言われるかも。疎遠なため、義兄が何を考えているかわかりません」