コロナ禍でテレワークが推奨されるようになり、都会の喧騒を離れて、のどかな地方に移住する人が増えているという。また、自然豊かな地方で子育てをしたいと考える人も多いだろう。しかし、現実には苦労も多いのが“田舎暮らし”の実態。実際に山村に移住した物書き&漫画家の玄番真紀子さんが、そのリアルな苦労を教えてくれた。
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少人数での教育を希望して、山間地の小学校の近くに移住したのですが、年々、地元の子供たちが減少してしまい、ついに娘が卒業後、休校になってしまったんです。ずっと娘の母校として形を残してほしいなとは願っていますが、存続は非常に厳しい状況で、廃校になってしまうことを考えると寂しい気持ちになります。
高校も移住するときにはあったので、高校卒業までは自宅通学ができるなと思っていたんですが、廃校に。これは予想外の出来事でした。娘は町でひとり暮らしをして高校に通うことになり、奨学金を利用してはいましたが、毎月の仕送りが4万~5万円かかりました。
お子さんがいて移住を考えていらっしゃるかたは、その地域や自治体がどれだけ教育に力を入れているか、なるべく子供を呼び込もうとしているか、そういうことをあらかじめしっかり確認してから行かれた方がいいと思います。
人づきあいで驚いたことといえば、こちらの人たちは同じ名字が多いこともあって名字で呼ばずに下の名前で呼ぶんですけど、下に「ねえ」や「にい」をつけるんです。「“ゆきねえ”と“たかにい”が来る」って、てっきり若いお姉さんとお兄さんがやって来ると思ったら、80代と90代のおばあちゃんとおじいちゃんが現れてビックリした、そんな笑い話もありましたね。