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「たくさん食べさせたい人」と「もう食べられない人」のミスマッチが生む悲劇

離れて暮らす息子へ母親からの“愛情表現”

 ちなみにハラスメントではないが、仕事関係だけでなく、学校や家族間での「たくさん食べるように」というプレッシャーに困惑する人もいる。

 都内のIT企業で働く30代男性会社員・Cさんは、4年前に実家を出て一人暮らし中。帰省するたびに、「母親からの食事のプレッシャーが大きくなる(笑い)」と本音を明かしてくれた。実家に帰ると母親から「これも好きでしょ、どんどん食べて」と言われ、お腹いっぱいでも食べさせようとするそうだ。

「今は控えていますが、以前は近県なので1か月に1回くらいは帰っていました。僕が好きな食べ物を用意してくれるのは嬉しいんですけど、山盛り。『もう食べられない』と言っても、持ち帰りになってしまう。たぶん、僕がまだ子供の時のままのイメージで、かつ『一人暮らしの男は食に困っている』という認識なんでしょうね」(Cさん)

 その認識は“仕送り”からも見て取れる。Cさんは、「とにかくすごい量なんですよね。大量のレトルト食品と実家の近所の激安スーパーで買った野菜でいっぱいのダンボールが定期的に送られてきます。もう働いているし、自分でも買えるんですけどね」と苦笑する。

 Cさんも、離れて暮らす子供を心配する母親の気持ちは理解しているし、感謝もしている。だからこそ逆に「断ったら寂しい気持ちにさせてしまいそうで、それはできない」と、母への配慮も口にする。こうなるともう、親子間の愛情表現の一種と言えるだろう。

 たくさん食べさせたい人と、もう食べられない人。このミスマッチに様々な局面で悩まされている人たちは、意外と少なくないようだ。

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