スマホ1台で手軽に買い物できるキャッシュレス時代。現金を持っていなくても事足りるシーンが増えたことで、財布を出す頻度が減っている。現金をはじめ、クレジットカード、ポイントカードなど、それまで財布に入れていたものを見直すと同時に、財布を買い替えた人もいるようだ。だが、新しい財布がすぐに自分の生活にフィットするかと言えば、そう簡単なものではない。財布の買い替えに失敗した人たちの声から、キャッシュレス時代の財布選びの難しさを探った。
3つ折りの財布から長財布に出戻り
メーカーに勤務するAさん(30代女性)は、日常的にApple Payでスマホによるキャッシュレス決済を利用している。そうした中で、約3年使っていた長財布から、3つ折りの財布に買い替えた。
「キャッシュレス決済に対応する店が増えたことで、私もスマホでの決済が増えました。同時に現金の利用比率が減っていたので、財布を買い替えるなら必票最低限の小さい財布がいいと思って、3つ折りの財布にしました。やっぱりコンパクトで軽量なので、ポケットに入れても鞄に入れても、かさばらないで便利。見た目もかわいいし、同僚も財布を替えたことに気づいてくれて会話のきっかけにもなり、満足していました」(Aさん)
「もう長財布には戻れない」とまで3つ折り財布を気に入っていたAさん。だが、次第に使い勝手の悪さを感じるようになってきたそうだ。
「いくつかスーパーを使い分けているのですが、そのうちの1店が安いけど現金決済オンリー。だから、そのために財布から現金を取り出すわけですが、以前の長財布と違って小銭もポイントカードも出しにくく、時間がかかります。またお札には2か所折り目がついてしまうことになりますが、レジの担当の方が、わざわざ折り目を伸ばしていました。レジにお札を挿入するのに、しわを伸ばしたほうがやりやすいみたいで……なんだか悪い気がしてしまい、元の長財布を使うようになっています」(Aさん)
長財布に出戻りしたAさんは、今思うことがあるという。
「自分の性格に合ってないのに、トレンドを追ったのが間違いでした。現金の取り出しやすさはもちろん、私にはポイントカードもクレジットカードもキャッシュカードも健康保険証もフルで入れられるものが結局性に合っているな、と。3つ折り財布は財布の中身を厳選するのが面倒ですし、レシートがあまりたくさん入らないのもプチストレスでした」(Aさん)