家計

食べ放題で「元を取りたい」と思う心理 “サンクコスト効果”が失敗を招く

「元を取りたい」と思う気持ちが自分を苦しめるケースも(イメージ)

「元を取りたい」と思う気持ちが自分を苦しめるケースも(イメージ)

 人間の行動は必ずしも合理的ではない。人は誰しも先入観や思い込みゆえ、正しくない行動をしてしまうことがある。伝統的な経済学ではうまく説明できなかった社会現象や経済行動を、人間行動の観察や実験を通してとらえようとするのが「行動経済学」だ。貯金の習慣がなく、貯金ゼロ状態が続いている、女性セブンの名物ライター・野原広子さん(64才。通称・オバ記者)の行動を、行動経済学者の橋本之克さんがひもとく。【全4回の第2回。第1回を読む】

【Q:オバ記者の疑問】
食べ放題に行くと満腹でも食べ続けちゃう。元を取らないと気が済まないのはなぜ?

【Q2】なぜ元を取ろうとしてしまう?

【Q2】なぜ元を取ろうとしてしまう?

橋本さん:「○○放題」って言葉、魅力的ですよね。でも、その言葉と必ずセットで出てくるのが「元を取らねば」というフレーズです。

オバ記者:先日行ったのはホテルのランチビュッフェ。思いっ切り奮発して7150円(+サービス料!)のコースにしたんだけど、まぁ、それだけ出したからにはがんばったわよ。けっこうお腹いっぱいだったんだけど、3時間近く粘っちゃった。

橋本さん:お金や時間、労力など、自分が費やしたものは決してムダではない──人はそう思い込もうとするものですが、行動経済学ではそれを「サンクコスト効果」と呼びます。「サンク」は英語の「sink(沈む)」の過去分詞「sunk」で、「サンクコスト(sunk cost)」は「沈んでしまって手元には残らない費用」という意味です。このサンクコスト効果が働くと、人はそのサービスをめいっぱい利用しようとするのです。

元を取って余りあるとうれしくなる…

元を取って余りあるとうれしくなる…

オバ記者:“乗り鉄”の私にとっては、JR東日本の「大人の休日倶楽部パス」【*】がまさにそれね。1万5270円で4日間乗り放題。上野・新青森間なら片道で元が取れて、あとは乗れば乗るほど得するのよ。で、充分乗った後に、どれだけ得したか電卓叩くのがまた楽しみで……。

【*「大人の休日倶楽部パス」の購入には、「大人の休日倶楽部」への入会が必要となり、枚数も限定される。発売期間や利用期間も限られる。東海道新幹線は利用できないなど注意点もある】

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