4人家族で「1日200円」の差
ただ、当時の池田氏が口にした「経済原則」は令和の時代になって“プーチンの戦争”が勃発したことで、完全に逆転したと言っていい。前出・荻原氏はこう言う。
「ほとんどの食料品が値上がりしていますが、価格が上がっていないものがひとつだけあります。それが『お米』です。コロナ禍で外出、外食が減ったことで、お米の在庫が多くなっており、農家からの出荷価格が下がっています。現状で、ご飯は茶碗1杯で20~25円ぐらい。そこに卵を入れて“卵かけご飯”にしても、高くて50円になる程度です。
それに対して食パンは現在の水準でも6枚切り1枚が25円ぐらいで、2枚食べると50円。そこへきて今後、値上げが続くと考えられる。また、パンは基本的にジャムやバターをつけないと食べられないのでそのコストが乗るし、洋食の組み合わせでミルクやスープもということになれば、1食で100円ぐらいになってしまう」
米かパンかで1人分の朝食に50円の違いが生じ、4人家族なら1日で200円の差が出ることになるという説明だ。荻原氏が続ける。
「たかが200円といっても毎日のことですから1か月で6000円、年間7万円以上の違いになるから大きい。子供たちのおやつにしても、ポテトチップスの代わりにおにぎりを握ったほうが安上がりになるという世界になっています。米を主体の食生活にすることで、食費が圧縮できるというのが、新しい“常識”として定着していくと考えられます」
“家計のためには米を食え”という戦後復興期の日本とはあべこべの現実が生まれつつある。