会社員として働き続ければ毎年、年金が増えるので、「チャンスがあれば65歳以降も会社員として働きながら年金を増やしていくべき」(北村氏)と考えられるのである。
「会社員として厚生年金に加入する働き方をすれば、勤め先の健康保険にも加入できて、国民健康保険と比べて様々なメリットがある。最大の違いは、病気やケガの治療で働けなくなった時に健康保険から『傷病手当金』が支給されることでしょう。今年からは、傷病手当金が支払われる期間が実質的に長くなる制度改正もあり、保障が手厚くなりました」(北村氏)
また、年齢を重ねてから雇用保険に加入する働き方をすることのメリットも増している。
「今年1月から65歳以上の人のための、『雇用保険マルチジョブホルダー制度』がスタートしました。これまでは主たる事業所での労働条件(1週間の所定労働時間20時間以上など)が適用要件を満たしている人が雇用保険に加入できる仕組みでしたが、新制度では複数の事業所で勤務する65歳以上の人が、そのうち2つの事業所での勤務を合計して要件を満たす場合に、特例的に雇用保険の被保険者となれるようになりました(本人からハローワークへの申請が必要)。メインの勤め先での労働時間が短くても、副業を合わせて雇用保険に加入すれば、失業時の給付などが受けられるようになるのです」(北村氏)
会社勤めと“おさらば”する時期については、判断を早まらないのが賢い選択となってくるのだ。
※週刊ポスト2022年5月6・13日号