投資

東証再編でグロース市場から機関投資家が消えた IPO市場も厳しい状況が続く

 ところが、プライム市場の創設を機に、上場基準が大きく改められた。2022年4月までは、時価総額が40億円以上、最近2年間の利益合計が5億円以上を達成していれば、新興市場や東証2部から東証1部への市場変更が可能だった。それがプライム市場では、時価総額が250億円以上、最近2年間の利益合計が25億以上と、上場基準のハードルが一気に高くなってしまったのだ。

 その結果、グロース市場からプライム市場への市場変更が非常に難しくなった。これまでは、毎年15~20社がマザーズ市場から東証1部市場へ市場変更していたが、今後は2~3社しか行けなくなると予想される。

 そのため、これまで東証1部昇格が有望視される新興市場銘柄を先回りして、大量に買っていた機関投資家が、いまやグロース市場銘柄には見向きもしなくなってしまった。グロース市場は結果的に、少し値上がりしたらすぐ売って利益を確定させるような個人投資家しか参入していないマーケットとなっている。ファエバリュー(適正な株価)の構築を担っていた機関投資家が新興市場へ参入していないので、IPO市場全体も厳しさを増しているのが現状である。

【プロフィール】
西堀敬(にしぼり・たかし)/投資情報サイト「東京IPO」編集長などを経て、現在は「IPOジャパン」編集長(https://ipojp.com/)。IR説明会、セミナーなども多数行なう。著書に『改定版 IPO投資の基本と儲け方ズバリ!』など。

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